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膵がん

疾患の特徴

「膵がん」の患者さんは近年増加傾向であり、日本人の悪性腫瘍による死因(2022年)では男性は第4位、女性は第3位を占めています。
「膵がん」とは一般的には膵管上皮から発生した「膵管がん」のことをいい、約90%がこの「膵管がん」です。「膵がん」は非常に悪性度の高い‘がん’であり、切除できてもその5年生存率(手術して5年後に生存している確率)は20%を下回るとされています。近年は手術のみではなく、術前や術後に抗がん剤治療を組み合わせることで、少しずつその治療成績が向上しています。
 膵臓の腫瘍には他に、「膵神経内分泌腫瘍 NeuroEndocrine Tumor; NET」、「膵管内乳頭粘液腫瘍 Intraductal Papillary Mucinous Neoplasm; IPMN」、「粘液性嚢胞腫瘍 Mucinous Cystic Neoplasm; MCN」、「充実性偽乳頭状腫瘍 Solid Pseudopapillary Neoplasm; SPN)」などもあります。
当院では上記の「膵がん」や膵臓の腫瘍の治療を得意としています。

主な症状

「膵がん」は早期の状態では自覚症状がほとんどないため、なかなか発見することができません。健康診断を受けていても早期発見は難しい疾患です。ある程度進行すると、腹痛、背部痛、体重減少、食欲不振、黄疸(眼球黄染や皮膚黄染、灰白色便、褐色尿、かゆみ)、高血糖などの症状を認めます。特に糖尿病患者さんで急に血糖コントロールが悪くなった時は注意が必要です。心配な症状があれば、お気軽にご相談下さい。当院で精密検査を行います。

治療法について
手術

「膵がん」の根治を目指すには手術以上の方法はありません。当院では図1のように「膵がん」の治療方針を詳しく定め、抗がん剤と手術を組み合わせて、その治療に取り組んでいます。

図1.「膵がん」の治療方針

 

膵臓は頭部、体部、尾部に分けられ、「膵がん」の発生部位により膵頭十二指腸切除、膵体尾部切除、膵全摘などの術式を決定します。膵頭十二指腸切除(図2)では、膵頭部・胆管・胆のう・十二指腸を切除し、時には門脈合併切除や動脈周囲神経叢切除、横行結腸などの他臓器合併切除も行います。

図2.膵頭十二指腸切除

 

切除後は、膵臓と空腸、胆管と空腸、十二指腸と空腸とをそれぞれ吻合し(つなぎ)、再建します。膵体尾部切除では、膵体尾部と脾臓を切除します。当科では可能な限り腹腔鏡で膵体尾部切除を行うようにしています(図3、4)。

図3図4.腹腔鏡で膵体尾部切除

非常に大きな手術ですが、当院では日本肝胆膵外科学会高度技能指導医・専門医を中心にしたチームで治療にあたっており、安全で質の高い手術、きめ細やかな術後管理を患者さんに提供したいと思っています。「膵がん」根治を目指して、一緒に治療をがんばりましょう。

抗がん剤治療

手術のみならず、抗がん剤治療にも力を入れています。抗がん剤治療により切除不可能だった‘がん’が切除可能になる(コンバージョン)こともありますし、切除不可能であっても抗がん剤治療によって予後の延長を目指します。抗がん剤と聞いて副作用がキツイと思われるかもしれませんが、副作用対策はしっかり行いますし、副作用が強い時は抗がん剤の休薬や減量で対応をしますので、安心して抗がん剤治療を一緒にがんばりましょう。

担当科の紹介
肝胆膵外科

当院では日本肝胆膵外科学会高度技能指導医1名と同専門医1名を中心にしたチームで、「都会と同じレベルの医療」を皆様に提供すべく日々の診療に当たっています。肝胆膵外科がん手術を年間40~50件行っており(表1)、日本肝胆膵外科学会高度技能専門医制度 認定修練施設Bに認定されています。
患者さんにダメージの少ない腹腔鏡手術を積極的に行っていますし、高度進行がんに対しては血管合併切除や他臓器合併切除を伴う拡大手術を行うこともあります。
肝胆膵外科手術後は膵液瘻(すいえきろう;膵液の漏れ)や胆汁瘻(たんじゅうろう;胆汁の漏れ)、肝不全などの特有の合併症があり、それらをいかに適切に迅速にコントロールするかが重要です。当院では周術期死亡ゼロを第一目標に、肝胆膵外科手術に取り組んでいます。
一緒に肝胆膵がん治療をがんばりましょう。

外科の案内
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