手術支援ロボット「ダヴィンチ」(ダビンチ)
体の負担が少なく、より精密な手術が可能な「ダヴィンチ」
古賀総合病院は2024年11月より手術支援ロボット「ダヴィンチXi」を導入しました。ダヴィンチは、アメリカのIntuitive Surgical社が1990年代に開発された最新鋭の手術支援ロボットです。 2000年にFDA(アメリカ食品医薬品局)に承認され、その後、患者さんの体の負担が少ない手術ができることや、精密な手術ができることなどから、アメリカ全50州はもちろん、全世界69か国の医師に使用されています。日本では、2009年にダヴィンチ手術が薬事承認され、現在、全国で約600台(2023年6月時点)が導入されています。
手術支援ロボット「ダヴィンチ」とは?
手術支援ロボット「ダヴィンチ」は、医師が、ハイビジョンカメラの3D映像を見ながら、アーム(カメラアーム1本、鉗子アーム3本)を持ったロボットを遠隔操作する、内視鏡手術支援ロボットです。手ぶれ補正機能などで、極端な動きを防止して安全性を保っています。
緻密な動きで、正確な手術を実現
ダヴィンチの大きなメリットは、患者さんの体への負担が少ない鏡視下手術の精度をさらに上げ、より正確で安全な手術ができることです。医師は、内視鏡の3Dカメラで映し出された鮮明な立体画像を見ながら手術します。3Dカメラのデジタルズーム機能は、10倍まで拡大することができます。手術操作時に用いるロボットアームは、人の手以上に器用な動きが可能で、狭い隙間でも自由に器具を操作することができます。ロボットアームの先端は医師の手と完璧に連動し、体内で自らの手で行うような感覚で手術できるのがダヴィンチの特徴で、ロボットにしかできない動き(関節の 360度回転など)が加わることで、開腹手術でも困難であった操作を可能とします。さらに指先の震えが鉗子の先に伝わらないように手ぶれ補正機能もあり、細い血管の縫合や神経の剥離など、緻密な作業も正確にできます。患者さんにとっては、傷口が小さくて済む、出血が少ない、術後の痛みが少ない、回復が早い、機能を温存できる可能性が高いなど、多くのメリットがあります。
保険診療が可能な手術
日本で保険診療が可能なダヴィンチ手術は、外科、泌尿器科、婦人科、胸部外科、頭頚部外科で実施されています(2024年11月現在)。古賀総合病院では、腹腔鏡手術を年間400例以上実施しており(2024年9月時点)、この経験は、ロボット支援下手術にも十分生かせるものであり、ダヴィンチの導入によって、これまでと同じ手法で、より精密な手術ができるものと考えています。一方で、ロボット手術は未だ全領域(臓器)で行われているわけではなく、術式によってもロボット手術が適しているものと、そうでないものがあります。また執刀医の技量や患者さんの状態、がんの進行具合、疾患によっても低侵襲手術ではなく開腹手術を選択すべき場合もあります。患者さんごとの手術アプローチに関しましては、担当医とよくご相談いただく必要があります。
今後の導入術式
2024年11月
- 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術
2024年12月
- 腹腔鏡下直腸切除・切断術
2025年2月
- 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術
2025年~
- 腹腔鏡下胃切除・胃全摘術(単純・悪性腫瘍手術)
- 腹腔鏡下膵体尾部腫瘍切除術
- 腹腔鏡下肝切除術