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胆管炎

疾患の特徴

胆管は胆汁が流れる管で、肝臓で生成された胆汁を十二指腸に運ぶ役割をしていますが、ときに胆管に細菌感染が生じる場合があります。「胆管炎」は、胆汁の細菌感染に加えて、胆汁がよどんで(胆汁うっ滞)胆管内の圧力が上がることの両方がそろったときに起こります。胆汁うっ滞の原因としては、胆管の中の結石(胆管結石)、胆のう結石が胆管に移動してきたもの(落下結石)、胆管あるいは胆管の周りのリンパ節やがんなどが腫れることによって胆管が塞がれること、などがあります。まれには、小腸や大腸の腸閉塞が影響して胆汁うっ滞がおきたり、ごくまれですが寄生虫が胆管の出口(十二指腸乳頭部)を塞いで引き起こすこともあります。

主な症状

「胆管炎」の症状としては、寒気を伴う発熱や黄疸が出現し、右上腹部の痛みがおこります。胆管は血流が豊富な肝臓と直結しているため、血流に細菌が混入して全身を巡回する敗血症に至る場合があります。敗血症はさらに播種性血管内凝固症候群(出血が止まらなくなる状態、DICと略します)を誘発して、意識が混濁したり血圧が急激にさがるショック状態となり、急速に状態が悪化する場合があります。

治療法について
胆道ドレナージ

初期治療は入院の上で絶食・点滴、抗菌薬投与、鎮痛薬投与を行います。さらに胆道ドレナージ(溜まった胆汁を体外あるいは腸内に排出する治療手技)が推奨されています。重症の場合には緊急で内視鏡を用いた内視鏡的胆管ドレナージ術を行います。これは軽く鎮静をかけた状態で内視鏡を十二指腸まで挿入した後に、胆管の出口である十二指腸乳頭部から胆管にチューブを挿入します。径2mm程度の長いチューブを鼻から出し胆汁を体外に出す外瘻法(内視鏡的経鼻胆管ドレナージ術:ENBD)と、腸内に胆汁を出す短いチューブ(径2~10mm程度)を留置する内瘻法(内視鏡的胆管ステント留置術:ERBD)があります。

経皮経肝胆道ドレナージ

4. 病気の種類や場所、患者さんの状態によっては、上記の内視鏡的治療が難しい場合もあり、その場合は身体の外から肝臓を介して胆管にチューブを挿入する経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD またはPTCD)を選択する場合があります。超音波とX線透視装置を使い胆管の位置を確認しながら、局所麻酔を行った後に身体の外から中の肝臓に向けて細い針を挿入し肝臓内の胆管に当てます。針先が胆管に入ったことを確認して、ガイドワイヤーという医療用の針金を胆管に挿入します。ワイヤーに被せる形で少しづつ太いチューブ(径3〜8mm)を挿入して、皮膚を通して胆管にチューブを留置します。

担当科の紹介
外科・消化器内科

胆管炎に対しては、上記の治療内容をふまえ消化器内科と外科で適宜治療に当たっています。胆管炎の原因になりうる胆管結石は、診断されたときは無症状でも後に胆管炎や膵炎を惹き起こすこともあるので、発見時の症状あるなしにかかわらず治療が必要です。胆管炎の治療を行いつつ、胆管結石については消化器内科にて内視鏡を用いて十二指腸乳頭を切開して結石を取り出す内視鏡的乳頭切開切石術を行います。十二指腸乳頭を風船で膨らませて拡げた状態で胆管結石を取り出す内視鏡的乳頭バルーン拡張術を行う場合もあります。内視鏡的治療が困難な場合には、外科にて手術(腹腔鏡下胆管切開結石摘出術)を行います。患者さんの状態に応じて、どの治療法がより良く適切なのかを消化器内科と外科で随時検討しながら治療に当たっていきます。

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