糖尿病
「糖尿病」とはインスリン作用不足により高血糖をきたし、種々の合併症(「糖尿病神経障害」「糖尿病腎症」「糖尿病網膜症」「動脈硬化症」等)により、生活の質(QOL)や日常生活動作(ADL)に加え、健康寿命をも左右する代表的な国民病です。おもに急性に発症し生きるためにインスリン療法が必須な「1型糖尿病」、おもに肥満を介して成人が発症する「2型糖尿病」、その他の特定の機序・疾患によるもの(「慢性膵炎」等)、「妊娠糖尿病」に分類されます。高血糖による多尿・口渇・多飲が特徴的な症状ですが、2型糖尿病の初期は無症状なことが多いため、健診での早期スクリーニングおよび早期診断・早期治療が重要です。治療は食事療法、運動療法および薬物療法ですが、いずれの治療においても自己管理の継続がとても重要です。
「糖尿病」の症状は高血糖による多尿・口渇・多飲が特徴的ですが、初期は無症状なことが多いため、健診での早期スクリーニングおよび早期診断・治療が重要です。
薬物療法
近年、糖尿病薬の選択肢がふえ、2型糖尿病の個々の患者さんの病態に応じた薬剤選択に加え、年齢やライフステージも考慮したオーダーメイド医療のご提供が可能になりました。これまでの糖尿病薬に加え、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体作動薬やSGLT2阻害薬等の適切な導入により、血糖改善はもちろんのこと肥満是正や臓器保護(心、肝、腎等)を両立し、目にみえるかたちで治療効果を還元し、治療継続を支援しています。
インスリン療法
インスリン製剤もこれまでの持続型や超速効型に加え、超々速効型インスリンが登場し、より細かな調整が可能になりました。今後、週1回注射のインスリン製剤も発売予定であり、インスリンの恩恵は更に広がることが期待されます。また持続皮下インスリン注入療法(CSII)は、リアルタイム持続グルコース測定;CGMを併用したインスリンポンプ療法;SAPの導入による高血糖・低血糖の改善により、安心して眠ることができるようになった等の治療満足度にも貢献しています。
食事・運動療法
食事療法については、目標体重よりエネルギー摂取量を算出し、糖尿病食事療法のための食品交換表に準拠し、適宜、カーボ・カウントによる食事療法を指導しています。運動療法については、血糖コントロール状態、合併症の程度、基礎疾患の有無、年齢および体力に応じた内容をご提案しています。またCGM(リブレ;インスリン注射時に保険適応)や体組成計(InBody)にて可視化した治療効果をフィードバックすることにより治療継続をサポートし、病状が安定しましたらかかりつけ医へご紹介させて頂いています。
「糖尿病合併症」については、眼科(「糖尿病網膜症」)、神経内科(「糖尿病神経障害」)、腎臓内科(「糖尿病腎症」)と連携し、病状の把握と治療を行っています。
「動脈硬化性疾患」、特に「冠動脈疾患」については循環器内科と連携し、早期診断と治療を行っています。
手術時は、各科と連携し周術期の血糖コントロールを行っています。食事療法は栄養管理部と、運動療法はリハビリテーション科と連携しています。
高齢化に伴う認知症の患者さんへの治療については、ケアマネージャー、デイケア施設、訪問看護施設と密に連携することによる患者さんの治療およびご家族への支援により、継続的で安心できる糖尿病診療をご提供しています。情熱と愛情に満ちた診療により、患者さんおよびご家族と生きる喜びをわかちあえれば幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。