睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に何度も呼吸がとまる病気です。医学的には10秒以上呼吸が止まる「無呼吸」と10秒以上呼吸が弱くなる「低呼吸」が睡眠1時間あたりに5回以上観察され日中の過度な眠気などの臨床症状を伴う状態のことを睡眠時無呼吸症候群といいます。睡眠中に低酸素状態が続くことで心臓や血管に負担がかかり心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクになったり高血圧や不整脈の要因となることもあります。簡易型睡眠検査装置を用いたスクリーニングを行ったのち、終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)によって診断します。
ベッドパートナーや家人から睡眠時のいびき、無呼吸を指摘されることが多いです。自覚症状としては、仕事に支障を来すような日中の過度な眠気があったり、熟眠感がない、夜間の排尿回数が増えたりすることもあります。
CPAP療法
PSGの結果、無呼吸低呼吸指数(AHI)が20回/時以上の場合は、持続気道陽圧(CPAP)療法が適応です。CPAP療法は睡眠時に装着する機械で鼻もしくは鼻口マスクから陽圧の空気を送り込み無呼吸を防ぐ治療法です。毎晩就寝前にマスクを装着する煩雑さはあるものの、最も効果的な治療法であり、無呼吸・低呼吸を劇的に改善させる効果があります。
口腔内装置
PSGの結果、無呼吸低呼吸指数(AHI)が20回/時未満の場合は、口腔内装置(OA)作成を行います。OAの作成は当院では行っていないため作成が可能な歯科へご紹介させていただきます。またCPAP使用が困難であった場合も使用することがあります。
睡眠時無呼吸症候群では高血圧や脳卒中、心筋梗塞などを引き起こす危険性が約3~4倍高くなります。また睡眠時無呼吸症候群患者が交通事故を引きおこす頻度は、一般の運転者に比べて約2.5倍ともいわれており無呼吸症候群が重症になればなるほど事故率が高くなるとの報告もあります。そのような観点からも早期に診断し治療導入することが望まれます。