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成人T細胞白血病リンパ腫

疾患の特徴

「成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)」は、ウイルス感染によって引き起こされる血液のがんで、特に日本の九州地方やカリブ海地域など、特定の地域に多く見られる病気です。原因は、HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス1型)というウイルスで、このウイルスに長期間感染している人(キャリアー)の一部が、ATLを発症することがあります。このウイルスは、主に母乳、血液、そして性行為を通じて感染しますが、感染した全ての人が病気になるわけではなく、多くは無症状のままです。しかし、感染から数十年後にATLを発症することがあります。

主な症状

ATLの特徴としてリンパ節の腫れがあり、体内のリンパ球が異常に増殖し、リンパ節が腫れてしまうためです。首やわきの下、足の付け根などにしこりを感じることがありますが、通常は痛みを伴わないため、気づきにくいこともあります。また、皮膚にも症状が現れることがあり、湿疹のような発疹や皮膚が硬くなる症状が見られることがあります。また、ATLは白血病としても現れるため、血液中にがん化したT細胞が増え、貧血や感染症にかかりやすくなります。これは、正常な血液細胞が十分に作られなくなるためで、体が疲れやすくなったり、息切れを感じたりすることがあります。また、免疫力が低下することで、感染症にかかりやすくなり、症状が重くなることもあります。特に肺炎や皮膚感染症がATL患者に多く見られます。

治療法について
化学療法、造血幹細胞移植

成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)は、HTLV-1というウイルスによって引き起こされるがんの一種で、治療は病気の進行具合やタイプによって異なります。ATLは急性型、リンパ腫型、慢性型、くすぶり型の4つのタイプに分類され、それぞれ治療法が異なります。
進行が速い急性型やリンパ腫型のATLでは、早急な治療が必要です。最も一般的な治療は化学療法で、これはがん細胞を攻撃する薬を使います。複数の抗がん剤を組み合わせて投与し、がん細胞を減らすことが目的です。しかし、ATLは他のがんに比べて化学療法に対して効果が持続しにくく、再発しやすいという特徴があります。そのため、治療の途中や再発後には造血幹細胞移植が考慮されることがあります。この治療では、患者の骨髄を健康なものに置き換え、新しい血液細胞を作り出すことを目指します。ただし、身体への負担が大きいため、患者の年齢や健康状態を考慮して判断されます。また、慢性型やくすぶり型のATLは、急性型に比べて進行がゆっくりしているため、すぐに強い治療を行わず、経過観察を続けることもあります。しかし、これらのタイプも時間が経つと急性型に移行することがあるため、定期的な診察と検査が必要です。症状が進行した場合には、急性型と同じように化学療法が行われることがあります。
ATLは治療が難しい病気ですが、適切な治療を受けることで病気の進行を抑え、生活の質を維持することが可能です。特に早期発見が重要であり、ATLの疑いがある場合は速やかに医師に相談し、治療計画を立てることが大切です。

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