
心不全
「心不全」とは、心臓がうまく働かず、全身に十分な血液を送り出せなくなる病気です。心臓は、全身に酸素や栄養を運ぶ血液を送り出すポンプのような働きをしています。心不全になると、このポンプ機能が低下し、様々な症状が現れます。
心不全の原因となる疾患は多数あり、下記のような原因が挙げられます。
● 虚血性心疾患による心不全:狭心症や心筋梗塞などが原因で起こる心不全
● 高血圧性心疾患による心不全:高血圧が原因で起こる心不全
● 弁膜症性心疾患による心不全:心臓の弁の異常が原因で起こる心不全
● 心筋症による心不全:心臓の筋肉自体が病気になっている状態
● その他:不整脈など
「心不全」では以下のような症状が出ることがあります。
● 息切れ:階段を上ったり、少し動いただけで息切れを感じることがあります。
● むくみ:足やふくらはぎがむくむことがよくあります。
● 疲労感:いつも疲れている感じがします。
● 動悸:心臓がドキドキする感じがします。
● 咳:夜間に咳が出ることがあります。
生活習慣の改善
● 塩分制限:むくみを防ぐために、塩分の摂取を控えます。
● 水分制限:医師の指示に従い、水分摂取量を調整します。
● 体重管理:肥満は心臓に負担をかけるため、適正体重を維持します。
● 規則正しい生活:十分な睡眠をとり、ストレスを溜めないようにします。
● 禁煙:喫煙は心臓に悪影響を与えます。
● 適度な運動:医師の指導の下、無理のない範囲で運動を行います。
薬物療法
病状に合わせて以下の内服薬を内服していただきます。
● 利尿薬:体内にたまった水分を排出することで、むくみや息切れを改善します。
● ACE阻害薬、アンジオテンシン受容体拮抗薬:血圧を下げ、心臓への負担を減らします。
● β遮断薬:心拍数を落ち着かせ、心臓の働きを改善します。
● アルドステロン受容体拮抗薬:体内のナトリウムと水分を排出することで、心臓への負担を減らします。
● ジギタリス:心臓の収縮力を高めます。
その他の侵襲的治療(非薬物療法)
薬物療法で効果が不十分である場合は、以下の治療を追加することで症状が改善する可能性があります。
● カテーテル治療:狭心症や弁膜症など、心不全の原因となる疾患に対して行われることがあります。
● 弁置換手術や冠動脈バイパス手術:重症の弁膜症や冠動脈疾患に対して心臓血管外科で行われる治療法です。
● 心臓再同期療法:不整脈を伴う心不全に対して、心臓の動きを調整する治療法です。
● 人工心臓:心臓移植の代替として、人工心臓を埋め込む治療法もあります。
● 心臓移植:重症の心不全に対して行われる最終的な治療法です。
心不全の治療の目的は、以下の通りです。
● 症状の改善:息切れ、むくみなどの症状を軽減します。
● 生活の質の向上:日常生活の活動量を増やし、生活の質を向上させます。
● 生命予後の改善:心不全の進行を遅らせ、寿命を延ばします。
大切なのは、医師の指示に従って治療を続けることです。
心不全は、早期発見・早期治療が大切です。もし、息切れやむくみなどの症状が続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。患者さんの状態に応じ、外来通院治療あるいは入院治療を提案致します。