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大腸憩室症

疾患の特徴

「大腸憩室症」とは大腸に憩室がある状態を大腸憩室症といいます。
大腸憩室とは、大腸の壁の弱い部分が、外側に向かって小さな袋状に突き出したものです。腸には細かな血管が外側から入ってくる場所があり、そこでは血管が腸壁の筋肉を貫いており、筋肉が小さく欠損しているため圧力に弱いといわれています。便秘で腸の内圧が上昇した状態や、加齢に伴う影響などで、圧に耐えられなくなると腸壁が外に押し出されて憩室ができると考えられています。

主な症状

「大腸憩室症」の症状ですが、憩室自体は通常は無症状です。ですが炎症を起こしたとき(憩室炎)や出血(憩室出血)したときに症状が出ます。
憩室炎は、憩室に炎症が起きて、その炎症が強いと穿孔(穴が開くこと)して膿瘍を形成することもあり、強い腹痛や発熱を伴います。さらに腹部全体に炎症が広がった汎発性腹膜炎となると、敗血症やショック(血圧が急激に低下し臓器の機能障害などを起こすこと)に陥る危険性があります。まれですが近接する膀胱に炎症広がって、膀胱と大腸に瘻孔(ろうこう=臓器がほかの臓器や体外と交通している状態)を形成することもあります。

憩室出血は突然の下血(肛門から血が出ること)で自覚され、腹痛を伴うことはほとんどありません。多くの場合、自然に止血するものの(自然止血率70〜90%)、繰り返し出血する場合や、まれにショックになるほどの大量出血をすることがあります。

上記のような急激な症状がない場合でも、たくさんの憩室ができるとその領域の腸は徐々に厚さを増し、長さは短縮してだんだん内腔が狭くなっていきます。すると便通異常を伴うようになり、そこで慢性的に炎症が繰り返された場合、さらに狭くなって腸閉塞症状をきたすこともあります。

治療法について
憩室症の治療

無症状のものは、特に治療の必要はありません。
炎症はきたしていないものの、便秘や腹部症状(腹痛・腹部不快)がある場合は食事療法や内服薬で対応します。

憩室炎の治療

憩室炎では、一般に抗菌薬の投与と欠食が行なわれます。症状が落ち着いた後は、大腸内視鏡検査や注腸造影検査を受けることが勧められます。
膿瘍を形成している場合、その程度により膿瘍ドレナージ(膿を体外に排出させる)や手術が選択され、必要に応じて大腸切除まで行なわれることもあります。慢性炎症で腸が狭くなってしまった場合も、その領域の切除が必要となります。
穿孔性腹膜炎の場合にも手術が必要となりますが、それは救命のための緊急手術であり、腹膜炎の状況により、大腸切除のほか「人工肛門造設術」を行なうこともあります。

憩室出血の治療

憩室出血に対する止血には、大腸内視鏡による「内視鏡的止血術」や、カテーテルによる「動脈塞栓術」が行なわれます。自然に止血することも多いため(自然止血率70〜90%)、軽微であれば絶食による腸管安静が基本となります。ただし、繰り返し出血する場合については、危険な大量出血の場合と同様、最終的に大腸切除が必要となることがあります。当科では超緊急での大腸切除でなければ、小さな創での腹腔鏡下手術で、低侵襲治療を心がけております。

担当科の紹介
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