病気ガイド
トップ > 病気ガイド > 胆のう結石症

胆のう結石症

疾患の特徴

肝臓で作られる消化液の一種に胆汁があります。胆汁は肝臓から胆管をへて十二指腸に分泌され、食事中の脂肪分の消化を行います。胆のうは、一時的に胆汁を貯留しておいて、食事をすると収縮して胆汁を十二指腸内に分泌します。胆のうの中で色々な原因によって胆汁がよどんでしまうことが起こると、胆汁が石のように固まる胆のう結石を作ることがあります。胆のう結石があるからといって、必ずしも症状が出るわけではありません(胆のう結石をもっている人の23%は無症状といわれています)が、胆のう結石が原因で症状がおきた場合を「胆のう結石症」といいます。

主な症状

胆のう結石症の主な症状は右の肋骨の下あたり(右肋弓下)に差し込むような痛み(右季肋部痛、みぎきろくぶつう)です。痛みは決まったところだけではなく、背中や肩、腰に抜けるような痛み(放散痛)や、みぞおちやおへその上のほう、などに出る場合もあります。痛みの種類も鋭く強い痛み(疝痛、せんつう)や鈍く重苦しい痛み、肩こりのように張った感じ、など様々です。痛みのほかに発熱や嘔吐がおこることもあります。

治療法について
腹腔鏡下胆のう摘出術

胆のう結石の治療法は、大きく外科的治療と内科的治療に分かれますが、基本的には外科的手術(腹腔鏡下胆のう摘出術)が推奨されています。「胆のうを切除しても大丈夫か?」と心配される方もいると思いますが、胆汁の貯蔵庫がなくなるだけで、問題となることはほとんどありません。腹腔鏡下胆のう摘出術は全身麻酔で行い、お腹に二酸化炭素ガスを注入してふくらませ、腹腔鏡と呼ばれるカメラをお腹に差込みます。さらに数ヶ所の小さな傷から、手術器械(手術器具)を差し入れて、カメラで観察しながら胆のうを切除します。手術時間は炎症の状態にもよりますが1~2時間程度です。傷が小さいので痛みが少なく、また早期退院が可能です。

胆石溶解療法

内科的治療には、胆石溶解療法、体外衝撃波などがあります。胆石溶解療法は、内服薬での治療になりますが、石が溶けるまでに1年ぐらいかかり、完全に溶解できるのは18%ぐらいのようです。再発は1年で17%、3年で40%という報告があります。他に重い疾患がある方、超高齢の方など外科的治療が困難な場合や、手術を希望されない方などに選択されます。

担当科の紹介
外科

当院では1991年に腹腔鏡下胆のう摘出術を導入し、年間120~180件、2024年11月時点で累計6700件の腹腔鏡下胆のう摘出術を行っています。腹腔鏡下胆のう摘出術での大きな合併症の一つに胆管損傷(胆汁の流れる胆管を傷つけてしまうこと)があり、それが腹腔鏡手術から従来の開腹手術へ移行する理由にもなるのですが、当院の胆管損傷発生率(2012年~2021年)における胆管損傷発生率は0.24%(全国平均は約0.4%)、開腹移行率は0.54%(全国平均は約2%)であり、全国的に見ても非常に安全に手術を行っています。当院では胆管損傷を防ぐために術中造影(術前に留置したチューブから胆のうや胆管をX線造影する)やICG蛍光観察(インドシアニングリーンと呼ばれる色素を投与し、手術中に胆のうや胆管を描出する)を行っています。
これからも安全でかつ負担の少ない治療を患者さんに提供していきたいと思います。

外科の案内
トップへ戻る