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変形性脊椎症

疾患の特徴

ヒトの脊椎は、7個の頸椎・12個の胸椎・5個の腰椎と、その下の仙骨(5個の仙椎が癒合したもの)・尾骨(3~4個の尾椎)で構成されています。一つ一つの椎骨が椎間板や靭帯でつながり、関節をなすことで可動性を有しています。脊椎はヒトの身体を支える大黒柱であり、通常は正面から見ればまっすぐ、側面から見ればS字カーブ(頚椎は前弯、胸椎は後弯、腰椎は前弯)となっています。不良姿勢が続いたり、さらに過剰な負荷が持続的に加わったりすると、横方向に曲がったり(側弯)、捻じれたり、生理的な弯曲がなくなればストレートネックや腰椎後弯など様々な変形を生じます。また、個々の脊椎同士をつなげている深部筋(インナーマッスル)の機能が低下していると、脊椎が部分的に傾いたり捻じれたりしている場合もあります。

主な症状

変形しても症状はそれほどない方もいらっしゃいますが、多くの方は肩凝りや腰背部痛、体幹の可動域制限や運動時痛などが現れます。姿勢や動きに偏りが生じれば片側の上・下肢にも不調を招くこともあります。脊椎変形が進んでくると脊柱管狭窄や神経根障害など神経の症状が現れてくることもあります。背中が極端に曲がってくると、食物の通過や消化が悪くなるなど胃腸障害が現れてくることもあります。仰向けに寝ることが困難となればCTやMRIなどの検査に支障をきたすこともあります。

治療法について
運動療法

変形性関節症と同様に、運動療法が基本的な治療となります。変形の進み具合によっては元通りになることはありませんが、悪化していかないように、姿勢の改善や良姿勢を保持するための筋力・筋持久力をつけること、正しい動作を身に付けるための体幹トレーニングやストレッチなどが重要になります。これまでの運動習慣や現在の運動機能など、それぞれの体力レベルに合わせて指導していきます。

薬物療法

・非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)、アセトアミノフェン:いわゆる「痛み止め」です。急性期の痛みに対して使用します。内臓疾患によっては使用できない場合があります。
・デュロキセチン;抗うつ薬として使われる薬剤でもありますが、変形性脊椎症や変形性関節症の症例で、「痛み止め」が効きづらくなくなってきた「慢性疼痛」に有効です。腎機能障害がある方には使用できない場合があります。
・その他、湿布や軟膏などの外用剤も使用します

装具療法

体幹に装着するコルセットが代表的なものですが、既製品をそのまま使用したり、必要に応じて義肢装具士に採型を依頼して個々の体に合わせて作製します。また、義肢装具士と相談しながら、病態や身体状況に合わせて素材を考えて作製します。
保険適応です。

担当科の紹介
整形外科

変形性関節症と同様に、まずは保存療法を行います。変形したものが元通りになることを目指すよりは、変形した状態でも「動ける身体」を目指し、できるだけ痛みの少ない日常生活を送り、健康寿命を伸ばしていくことが大事であると思っています。
脊柱管狭窄など神経症状を伴うようになれば、それらに対する薬物療法や神経ブロックなどの対症療法を行います。それでも症状が改善しなければ手術が必要になる場合もあります。
当院では手術を行わないため、然るべき医療機関へ紹介します。

整形外科の案内
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