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骨粗鬆症

疾患の特徴

「骨粗鬆症」とは、骨組織の強度が低下し、骨折を生じやすくなる「疾患」であり、単なる老化現象ではありません。要支援・要介護となる原因の第1位は、「骨粗鬆症」による骨折を含む「骨・関節疾患」であり、中でも脊椎椎体骨折や大腿骨近位部骨折(脚の付け根の骨折)は生命予後にも影響を及ぼすことが明らかとなっています。それらの骨折を生じることで生活が一変することから、「骨卒中」という呼称が提案されるほどです。また、初回の骨折後に適切な治療が行われなければ次の骨折も生じやすくなり、「骨折連鎖=ドミノ骨折」のリスクも高まります。他にも、転倒時に手をつくことで手首(橈骨遠位端)や肘(上腕骨遠位端)、肩(上腕骨近位端)も骨折を生じやすい部位であり、骨粗鬆症診断のきっかけになります。
ひとたび骨折を生じれば痛みを伴い、自由な生活が失われます。行きたいところへ行けない。したいことができない。そのような事態を招く前に、「骨粗鬆症」を早期に発見し、適切な治療を受けましょう。

主な症状

「骨粗鬆症」は、骨折を生じなければ、特に症状はありません。骨折して初めて指摘されることも多いです。脊椎椎体に関しては、レントゲン写真を撮影したら「背骨が潰れている」と指摘されることで発見されることも多いです。TVのCMで「いつの間にか骨折」ということばを聞いたことがある方もおられるでしょう。骨も生きている身体の一部であるため、新陳代謝が行われます。新しく骨をつくり(骨形成)、古くなった骨は除去されていきます(骨吸収)。この新陳代謝のバランスが崩れると骨密度が低下したり骨質が脆くなり、骨強度が低下していきます。

治療法について
薬物療法:骨形成促進薬

骨を作る「骨芽細胞」を活性化して骨形成を促進していくための薬剤です。残念ながら内服薬や貼付薬ではなく、注射薬です。自己注射と週1回通院で行うものがあります。自己注射は連日行うものと週に2回行うものがあります。連日の製剤は最長で2年間使用するものと、1年半使用するものとがあります。週1回製剤も最長で2年間使用します。自己注射と聞くと、ほぼ全員が「怖い」、「自分にはできない」と言われますが、使う針は髪の毛程度の細さで、長さは米粒1個ほどであり、痛みはほぼありません。また、注射手技は看護師さんが時間をかけて懇切丁寧に指導しますので、全く心配はありません。
注射薬の治療後も他剤で治療を継続しますが、これまで治療してきた方々のほぼ全員が、転倒しても骨折を生じることなく過ごせています。

薬物療法:骨吸収抑制薬(半年に1回の皮下注射)

古くなった骨を除去する「破骨細胞」を活性化する物質に作用する抗体製剤です。破骨細胞を抑制することで骨吸収を抑制し、骨密度を増加させる効果があります。他の内服薬ではなかなか骨密度が増えてこない場合などに用います。本剤を長期間使用中に通院が途絶えたりなどで投与時期を過ぎると、リバウンド減少が起こって骨密度が急激に減少し、脊椎椎体に多発骨折を生じたりすることがあります。それを防ぐために概ね5,6回の使用に留めておき、その後はビスホスホネートという種類の骨吸収抑制薬に切り替えます。仮に使用回数が多くなったとしても、ビスホスホネート製剤に繋げていくことでリバウンドは防ぐことができます。

薬物療法:骨吸収抑制薬(内服・注射)

薬物療法:骨形成促進薬や薬物療法:骨吸収抑制薬(半年に1回の皮下注射)の薬剤の使用後や、骨密度の低下がさほど高度でない場合は、その他の骨吸収抑制薬で治療を行います。
ビスホスホネートという薬剤には、内服薬以外に月1回の静注製剤、1年に1回の点滴製剤があります。

担当科の紹介
整形外科

骨粗鬆症の診断には骨密度検査が必要ですが、脊椎椎体骨折や大腿骨近位部骨折の既往があれば、骨密度検査を行うことなく診断されることもあります。その他の部位でも、些細なことで骨折をしたことがある人や骨折を繰り返している人は、骨粗鬆症である可能性が高いため骨密度検査を行って適切な治療を行うことをお勧めします。骨粗鬆症になると骨折するリスクが高まりますが、適切な治療を行えば、そのリスクを大幅に減らすことができます。今後の人生を骨折することなく過ごすためにも、ぜひ整形外科を受診して骨密度検査を受けてみてください。
骨粗鬆症の発症を予防するには、若い年代から食生活・運動・睡眠という生活習慣の3本柱を整えていく必要があり、骨粗鬆症は生活習慣病のひとつと言ってよいと思います。自分の身を守るために、適切な生活習慣を身に付けていきたいものです。

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